変わりゆく華たち 第一幕 散ル華







…そういえばこの男、
何処かで会ったような気がする。


この雰囲気、最近あったような……



いや、気のせいだな。




「じゃあ、僕たちと一緒に屯所に行きま―――」



「断る」



手を伸ばしながら近づいてくる男の足が止まった。



「どうしてですか」



声が少し低くなった。


どうしてなんて聞かなくてもわかるはずだ。



先程も言ったはずだ。


どこの誰だかわからない奴に、「一緒に行きましょう」なんて言われて誰がついて行く。


少なくとも俺は付いていかない。



「断る、断らない以前に、テメェには拒否権なんざねぇんだよ。大人しくついて来い。
でなけりゃ……」



前にいる口の悪いと男は、鞘から刀を抜いて、刀を構えた。


隣に立っている男も同様に刀を構える。



そっちがそのつもりなら、俺も相手をしてやる。



「強引にでも連れてくまでだっ!」




両者同時に駈け出した。