…そういえばこの男、
何処かで会ったような気がする。
この雰囲気、最近あったような……
いや、気のせいだな。
「じゃあ、僕たちと一緒に屯所に行きま―――」
「断る」
手を伸ばしながら近づいてくる男の足が止まった。
「どうしてですか」
声が少し低くなった。
どうしてなんて聞かなくてもわかるはずだ。
先程も言ったはずだ。
どこの誰だかわからない奴に、「一緒に行きましょう」なんて言われて誰がついて行く。
少なくとも俺は付いていかない。
「断る、断らない以前に、テメェには拒否権なんざねぇんだよ。大人しくついて来い。
でなけりゃ……」
前にいる口の悪いと男は、鞘から刀を抜いて、刀を構えた。
隣に立っている男も同様に刀を構える。
そっちがそのつもりなら、俺も相手をしてやる。
「強引にでも連れてくまでだっ!」
両者同時に駈け出した。
