「チッ、勝者 神崎伊織。
動ける奴らは倒れている奴を医務室まで運べ!
幹部のみ此処に残れ!
それ以外の者は朝餉の準備に取り掛かれ」



土方の指示のもと、隊士たちは動き出した。


そして隊士たちがいなくなったのを確認すると、沖田は今まで開放していた道場の扉を閉めた。



「ったく、あー、
さっきはうちの隊士…山野が悪かったな」



「…は?」



何が始まるかと思えば、体格のいい奴が謝ってきた。


……誰だ?
幹部だという事は解るが。



「おいおい、忘れちまったのか?
嬢ちゃん、新八に蹴り入れてだろ」



…嗚呼。
あの時胸ぐら掴んで来た奴か。



「そうなるともう俺のことも忘れてるよな〜?
俺は原田だ。
ま、これから仲良くやろうぜっ」



そう言うと原田は俺の肩を組んできた。
俺はそれを払い落とした。



「おい佐之助。
今はそんなことしてる場合じゃねぇんだよ。

神崎、テメェの仕事は明日からだ。
朝餉前までに朝稽古を済ませておけ。
テメェんとこの隊士は明日よこす」



面倒だがしばらくは
コイツらに付き合ってやるか。

約束は約束だしな。



解った
と返事を返した。



「では神崎くん。
壬生浪士組一隊士(イチタイシ)としてこれから宜しく頼むぞ」



近藤さんは笑顔でそう言った。


俺がどこの誰だか知らないのに何故そんなふうに過ごせるのか。

よく判らない。




その後山南さんに、
明日の隊務の説明を詳しく受け
朝餉を取りに幹部のみしか入られないという
部屋へ向かった。


因みに、朝餉は美味しかった。