くたびれた道をひとり歩いていると、一匹の子猫がぼくの前に現れる。どうやらこいつは、お母さんとはぐれて迷子になったみたいだ。

「おい! どうした? 迷子になったか」

 その栗色の子猫を抱き上げて話しかけてみる。

「女の子か? お前」

 そして自宅に連れて帰り、ミルクをあげるとうれしそうになめる、その子猫。

「かわいいなぁ」

 その日の夜、ぼくはその子猫とベランダに踊り出て、一緒に夜空を眺めた。無数に広がる幾つもの星たち。その星空の中に一瞬、光り輝き流れるような星を見た。

“キラッ”

「あ! 流れ星?」

 瞳の中を斜めに通り過ぎ、一瞬にして消えた流れ星に、ぼくと子猫は願いごとが出来なかった。

「あんなに一瞬だと、何も願えないよね」

 子猫に話しかけながら、一緒にベッドに入る。

 次の朝、その子猫の姿は見あたらなかった。

「あれぁ、子猫どこにいったのかなぁ?」