ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-

「え~と……? あ! やっぱり彼氏有りって書いてあるよ(涙)」

『彼氏有りなので純粋なメール友達が欲しいです。』


 やっと見つけた茶色の子猫はソッポを向いた? 


「駄目っすよ~! 柏原さ~ん。せっかく返事あったのに、いきなり直メを急かすなんて!」

 ふたたび、Movie・onの事務所。久留美とのメールやりとりを三上に話してみるとこの調子。どうやら二回目のサイトメールでも直メ要求は早すぎたようであった。

「駄目かぁ? 早すぎる?」

「う~ん、相手にもよるけど、もうちょっと世間話しとかしてからじゃないと、なかなか首を縦に振らんで! 今どきのおなごは」

 さすがに慣れたようすの三上高志。やはりぼくのメール内容は急かしすぎか? 

「ふ~ん、でもまぁ仕方ないよ。ぼくは、お前と違って慣れてもないからさ。帰ってからサイト入って自分のメールBOX見てみるよ。その娘から返信なかったら、また、いい娘見付けるよ」

「でも柏原さん、あれから一週間。約束の結果発表の日まで、あと三週間やで!」

「分かっているよ! ところでお前、どうなのさ? いい娘見付けた?」

「うん!」

 得意気にいう三上。すでにサイト外でメールを交換しているらしい。

「写真見せたろか?」

 ぼくのことばを待たずに携帯電話を突き付ける三上。液晶画面に浮かぶ女の子。写りは悪いが、かわいく見える。

「ふ~ん……」

「もう会う約束もしたで!」

 ことばを失うぼく。あと三週間で、誰かにこの寂しさを委ねることが出来るのだろうか? 

 迷子の子猫はどこいった? 


「やっぱ、早すぎたかなぁ……。でも、サイトに来る娘って普通の子なのかなぁ?」

 ひとり考えながら、家路に着く。マンションのエレベーターに乗り込み最上階のボタンを押す。ゆっくりと重力に反して天に近づく。エレベーターはガラスばりになっていて、マンションの前の大通りがすぐそこに。目に映るネオンライト。見えなくなった星空のように見える。