ぼくが貴金属店に就職した理由は、宝石たちが見えなくなってしまった星空に良く似ているからかもしれない。夜空に浮かぶ光りを失ってしまったからか、ぼくは星のキラキラを欲して、宝飾のきらびやかさに救いを求めたのかもしれない。
ダイヤモンドの輝きは星のそれと良く似ている。
「ねぇ柏原さん、これ見て、この記事」
ぼくが就職してから何度目かの交代劇があって、現在接客担当のおんなの子がコ−ヒ−を差し出し、それと共に一冊の女性週刊誌をデスクに置いた。ペラペラとめくり、ある記事をぼくに見せる。
‘ある女性たちの一夜限りのアバンチュ−ル特集’
週刊誌、マスコミの好みそうな特集だ。
「どうていわれてもなぁ、ぼくはこんな夢みたいな経験無いからさ」
湯気の立つコ−ヒ−を、すすりながら答えた。
「柏原さんきれいな奥様居るもんね。でもわたし、この一夜限りってとこが信じられないわ」
週刊誌を睨みつけるようにして呆れ顔のおんな。見た目は派手でメイクも濃い。ヘアスタイルは今時めずらしくショ−トカットで、おとこうけの良さそうな顔つき。社長のタイプなのだろうか? おんなの子は一体ぼくに何が言いたかったのだろう……。
その娘が去ってからぼくは週刊誌を手にとって、特集記事をコ−ヒ−カップ片手に目で撫でた。
‘二十五歳、結婚二年目。美咲〔仮名〕’
結婚して二年目の専業主婦です。夫の単身赴任が決まって、お家にひとり残され寂しさ募って出会い系才とに顔出すようになりました。何度目かのメ−ルでのやりとりの末、隣の県で会う約束。初めての経験でドキドキしたけれど、食事してお酒飲んで、そのままホテルに直行。なんかふたりとも頑張っちゃって、朝まで三回戦。わたしなんて何回もイッちゃって、もうたいへんでした。
‘三十二歳、結婚七年目。芳江〔仮名〕
主人の浮気が発覚! しかも十歳も年下の会社OL。わたしも仕返しにってナンパ(こう見えて若く見られるの)されて、そのままホテルへ……。年下ちゃんが意気がっちゃってるのが可愛くて、思わず跨がって腰を振っちゃった。そしたらその年下ちゃん、顔真っ赤にして恥ずかしがるの! そっちからナンパしてきたくせに。だから罰として命いっぱい出してあげたんだ、白いの。でもね、その子の顔覚えてないのよ〜(笑)
ダイヤモンドの輝きは星のそれと良く似ている。
「ねぇ柏原さん、これ見て、この記事」
ぼくが就職してから何度目かの交代劇があって、現在接客担当のおんなの子がコ−ヒ−を差し出し、それと共に一冊の女性週刊誌をデスクに置いた。ペラペラとめくり、ある記事をぼくに見せる。
‘ある女性たちの一夜限りのアバンチュ−ル特集’
週刊誌、マスコミの好みそうな特集だ。
「どうていわれてもなぁ、ぼくはこんな夢みたいな経験無いからさ」
湯気の立つコ−ヒ−を、すすりながら答えた。
「柏原さんきれいな奥様居るもんね。でもわたし、この一夜限りってとこが信じられないわ」
週刊誌を睨みつけるようにして呆れ顔のおんな。見た目は派手でメイクも濃い。ヘアスタイルは今時めずらしくショ−トカットで、おとこうけの良さそうな顔つき。社長のタイプなのだろうか? おんなの子は一体ぼくに何が言いたかったのだろう……。
その娘が去ってからぼくは週刊誌を手にとって、特集記事をコ−ヒ−カップ片手に目で撫でた。
‘二十五歳、結婚二年目。美咲〔仮名〕’
結婚して二年目の専業主婦です。夫の単身赴任が決まって、お家にひとり残され寂しさ募って出会い系才とに顔出すようになりました。何度目かのメ−ルでのやりとりの末、隣の県で会う約束。初めての経験でドキドキしたけれど、食事してお酒飲んで、そのままホテルに直行。なんかふたりとも頑張っちゃって、朝まで三回戦。わたしなんて何回もイッちゃって、もうたいへんでした。
‘三十二歳、結婚七年目。芳江〔仮名〕
主人の浮気が発覚! しかも十歳も年下の会社OL。わたしも仕返しにってナンパ(こう見えて若く見られるの)されて、そのままホテルへ……。年下ちゃんが意気がっちゃってるのが可愛くて、思わず跨がって腰を振っちゃった。そしたらその年下ちゃん、顔真っ赤にして恥ずかしがるの! そっちからナンパしてきたくせに。だから罰として命いっぱい出してあげたんだ、白いの。でもね、その子の顔覚えてないのよ〜(笑)
