「みーおりっおはよぅ♬」



私、相川みおり。
フツ―の中学2年生。
で、今挨拶してくれたのが、同じクラスの鈴野未海。

「おはよう、未海!」

私はこの人が大好きだ。
いわゆる、親友だと思っている。
未海は天然パーマがかわいくて、明るくて、モテモテで皆の人気者だ。

――――でも、ひとつだけ、未海のいやなとこがある。
それは、
「あぁっっ高杉だぁ♡」
とっさに高杉敬のところに行く未海。
高杉は天然パーマで背が高くて顔もかっこいい。

「高杉っおはよぅ~今日もうねってるねww」
「うっせぇな~お前もうねってんぞ!」
なんだかすごくイイ雰囲気。


でも―――未海のこーゆーとこ、私は大っ嫌い。
だって、高杉は私の好きな人だから。
未海は、それを知ってて、わざと私の前でいちゃいちゃしてくる。
いつもこうだ。私や友達の好きな人にわざとこーゆーことをする。

未海が「じゃあね~」と高杉に言い、私のところに帰ってきた。
すると、

「高杉がいたのにー♪なぁんで話かけなかったのぉ~?」
と言ってきた。

私は「お前のそーゆーとこがキモいんだよ。ぶりっ子男好き女」

とでも言ってやろうかと思ったが、それは可哀想と思って
「別にどーでもいいし。もー高杉好きじゃないし。」

と、心にもないことを言ってしまった。
「えぇ~そーやってころころころころ変えるよね~、みおりってぇ。」
朝からイライラする。

大体未海は彼氏がいるのだ。
彼氏がいるのにほかの男子といちゃいちゃする。
でもこの前彼氏がほかの女子といちゃいちゃしてたら
すごく怒ってたし。
なんなんだよ。


でも、未海にだっていいところはたくさんある。
可愛い顔、声、ゆるふわな天然パーマ。
いじめられっこに声をかけて慰めている優しい性格も
私は大好きだ。

私たちは、小6のときに一気に仲良くなって、それからはずっと一緒にいる。
これからも多分私たちはずっと一緒。






それは、昼休みでの出来事だった。

私と未海がいつものように教室で話をしていると―――
「相川。ちょっといい?」
と、なんとあの大好きな高杉君にお呼び出しをくらったのだ。
あまりにも突然でうれしすぎて、私は未海を見てしまった。
未海は、「早く行きなよ!」というように、目で合図をしてきた。

「う、うん…」

私はそれに応えて、高杉の後ろをついてった。




そして、高杉が旧校舎の前で足を止めた。

この旧校舎は今ではなかなか人が入らなくて、
とても静かで涼しかった。

私は自分の心臓がバクバク言っているのが
聞こえ始めた。

どうしよう。

顔も次第に赤くなっていくのがわかる。

私、ここで告白されるのかな?

いや、全然話さないし私とは無縁の高杉だよ?


でも―――ちょっとは期待しても、いいよね?

大好きな彼が振り返った。

もう、ヤバい。
どうしよう。
私の顔をじっと見つめる彼。
顔赤くなってんのばれてるよー・・これ。

「なにか、私に用なの?」
勇気を振り絞って私は聞いた。

「—――俺、」
ドキドキドキドキ

「相川のことが―――前から、好きでした。付き合ってください」

嬉しすぎる。


「うん。よろしくお願いします」
その瞬間、高杉の大きな腕のなかに閉じ込められた。

私は嬉しすぎて、泣いてしまった。
高杉の大きな腕の中で。



――もう、このまま時間が止まればいいのに――
これ以上にないくらい、私はあなたがだいすきです。










―――翌朝。


私はいつものように朝ご飯を食べ、
いつものように未海と学校へ行く。

…ハズだった。




「いってきまーす。」

「気を付けてね。ご飯冷蔵庫にあるから。」
お母さんは今日夜勤なんだなー、なんて思いながらアスファルトへ足を踏み込む。

「うわ、すごい日差し…」
日焼け止め塗るの忘れちゃったなー。
「今日すごいいい天気だよね」




…え?




誰?





「おはよう、相川」


振り返ると。

なんと、私の大好きな大好きな彼がいた。


「え…なんで、ここにいるの?」



「なんでって。
ここ、相川んちでしょ?」


「そうだけど…なんでわかったの?」


「鈴野に教えてもらった。早く行こう?」


「え…でも、未海と行く約束…」


「俺が一緒に行きたかったから、鈴野に頼んだの。
…そんなに嫌?俺と行くの。」


高杉がすねてる。

こんな表情も言葉も言うんだ。