香奈も、彩未もそんな男の子の様子をしげしげと見詰めていた。言い知れない哀しい気持ちが香奈の胸を小さくさせた。彩未も同じ気持ちに感じたのか食べ終わりそうなソフトクリームのコーンをギュと握って潰してしまった。

2月の夕暮れは早く少し暮れかかった空から薄寒い風が吹いて彩未は小さな両手をクロスにすると自分の肩を抱き身震いをした。その姿に圭亮が「そろそろ帰ろ」と香奈に言って雄一に手を上げながら目で頷くと雄一も口を1文字にしたまま圭亮に手を上げた。


圭亮はさっきの男の子の顔が頭からはなれなかった。あの子は孤独なんだ、雄一に構って欲しかったんだろうと。その母親にも息子を引っ張っりながら早足で歩く背中が寂しく見えていた。寂しさを抱えているのは自分だけでは無い寂しく思わない人は居ないんだ。誰が傍にいてくれて、誰の傍に居ても気持ちが無いなら全く温まらないと。


香奈は目の奥で何かを見ている様な圭亮の横顔を見上げて見ていた。何かが伝わって来るような切ない気持ちになりながら。


彩未はさっきの勝利が余程嬉しかったのか?また、ニコニコと強い笑顔を称えていた。圭亮から目を逸らすと彩未を見た香奈はそんな彩未の顔が素敵だと感じた。