香奈はおばあちゃんの住む田舎に来てか一週間毎日ダラダラ過ごした。おばあちゃんはそれを気にする事も無く毎日マイペースに生きているみたいだ。朝五時には起きて朝食を作り洗濯をして掃除をする。それが済んだら朝七時には少し歩いて登った場所のおばあちゃんの畑に行き、おばあちゃん曰くお仕事をするのだ。

昼前に家に帰って来ておばあちゃんはあり合わせで昼食を食べそれからは大好きなミノモンタのテレビを見ながらテレビに向かって笑ったり話しかけたりしてゆっくり過ごしている。


隣の常ちゃんは毎日おばあちゃんを心配して遊びに来ては縁側でおばあちゃんの薬草茶を飲み日向ぼっこをしている

夕方は早い時間からお風呂に薪を焼べるおばあちゃんの家のお風呂は五右衛門風呂なのだ。おばあちゃんが夕食の仕度をしている間に香奈は釜の前に座りユラユラと揺れる橙色の炎を見つめていた。

橙色の炎を見つめていると色んな事を思い出す。涙が出て止まらなくなったりする。まるで自分が一番可哀想な人に思えてくるのだ。もう香奈には何が嫌なのかさえ解らなくなっていた。

『香奈あ、ご飯にせんかねぇ?』

おばあちゃんは土間の勝手口から顔だけ出して香奈を呼んでいた。