香奈はそのままじっとして動かず縁側に1人膝を抱え込みおデコを付けて考えていた。


ーザラザラザラザラー

おばぁちゃん家の庭にライトを照らしながら1台の白いワンボックスカーが入って来た。


『おねぇちゃぁん』


車が止まるか止まらない位で助手席から飛び出して来た彩未はバタバタと手を振りながら香奈の元へ走って来た。


『彩未……お母さん』



香奈は戸惑っいながら3ヶ月の間電話での声しか聴かなかった紀子の不安で泣きそう運転席から降りて来る顔を見た。

『おばぁちゃんに聞いて来たんよ』



紀子は後ろの席から荷物のボストンバッグを下ろしながら言った。彩未は香奈のパーカーの右の袖をシッカリ掴んで隣に静かに立っていた。香奈はそんな彩未の事を「鬱陶しい」とは思わなかった。

静かな夜に鳴く虫と山から聞こえてくる梟の囁くこえが香奈と紀子の間に雪解けが来たかのように温められて行った。