圭亮が雄一の家に来て数分経った時。近所に住む村の子供達が集まって来た。暫くは絵を書いたりカードゲームをしたりして遊んでいたが小学2年の杉本綾香が隠れんぼをしようと言い出した。


綾香は女子にしてはショートカットで何時もジーンズを履いている男の子の様な子供だった。綾香が何かをすると言い出せば皆はそれに従うしかない程のきかん気の強い子供だったから皆は何も言わずに隠れんぼをする事にした。


勿論何時も初めての鬼は綾香がじゃん拳無しで決めていた。

最初の鬼になったのは1番気の弱い雄一だった。

雄一は家の庭に植えてある檸檬の樹に両手で目を隠して顔をギュッと檸檬の樹にくっ付けた。微かな檸檬の甘酸っぱいいい香りがしていた。

雄一は大きな声を張り上げて数を数え始めた。子供達は一斉にあちらこちらに飛び出して行った。圭亮は誰よりも速く遠くに隠れる場所を探して夢中で走った。