『香奈。明日はお医者の日やけんな常ちゃんに軽トラで連れてって貰うんよ。その間すまんけんど畑行ってお野菜らぁ採っておいてくれんか?』
おはあちゃんはそう言うと「よいしょ」と言って静かに立ち上がると隣の日本間八畳の部屋に行き仏壇の前にちんまりと座って手を合わせた。そして仏壇の引き出しを開けて中から四角い紫色のベルベットの手のひらに乗る小さな箱を出して来た。その箱を香奈の前に持って来ると香奈の右手に握らせた。
香奈はその箱を左手に持ち替えると右手の親指と人差し指でそっと蓋を押し上げた。
『これはな、おじいさんが連れ添うてくれてから30年目に初めてくれたもんや。香奈が生まれた3月9日や、もうすぐ誕生日が来るからこれはバアとおじいさんからのプレゼント思うて貰うてほしいんよ。まぁバアは近頃は手ぇも痩せて皺ばかりやけんなハマらんし。香奈がココに来る前におじいさんとは話しをしとるで』
そう言うとおばあちゃんは夕方に風呂の釜の前で薪を焼べていた時と同じ寂しそうな顔をした。
おはあちゃんはそう言うと「よいしょ」と言って静かに立ち上がると隣の日本間八畳の部屋に行き仏壇の前にちんまりと座って手を合わせた。そして仏壇の引き出しを開けて中から四角い紫色のベルベットの手のひらに乗る小さな箱を出して来た。その箱を香奈の前に持って来ると香奈の右手に握らせた。
香奈はその箱を左手に持ち替えると右手の親指と人差し指でそっと蓋を押し上げた。
『これはな、おじいさんが連れ添うてくれてから30年目に初めてくれたもんや。香奈が生まれた3月9日や、もうすぐ誕生日が来るからこれはバアとおじいさんからのプレゼント思うて貰うてほしいんよ。まぁバアは近頃は手ぇも痩せて皺ばかりやけんなハマらんし。香奈がココに来る前におじいさんとは話しをしとるで』
そう言うとおばあちゃんは夕方に風呂の釜の前で薪を焼べていた時と同じ寂しそうな顔をした。


