桜が咲く頃～初戀～

今まで無表情に徹していた香奈はその音で胸の奥が高鳴り『ドーン』と一発目の大きな打ち上げ花火が開く音に身体全体が震えた。

緑赤白の3色の4尺玉の大きな花火は胸を震わせるには十分な威力があった。



圭亮は花火が上がった瞬間に香奈に浴衣の裾を握られたので胸の中がどうにかなったのか？身体をビシッとして固まらせていながらその香奈の夜空を見上げる顔と散る花火と夜空に広がる白い残煙が周りの星と半月の月を隠したのを切ないと思いながら見つめて、今日のこの景色は絶対わすれないと圭亮は強く思った。

それから勢い良く花火は沢山打ち上げられた。

花火が上がる度に周りからは『おぉー』とか『たまやぁ』や『かぎやぁ』等と歓声が湧き上がる。

そな雰囲気も胸をワクワクさせた。


『あっ、ごめん』


花火が上がる盛大な音に紛れて香奈の声がした。


『あっ、ええよ。花火綺麗やね』


香奈は掴んでいる圭亮の浴衣の袖を離しながら困った顔をしていた顔が圭亮は花火より綺麗だと思うと頷いてから夜空を見上げた。