『おばぁちゃん。彩未な今日からな。1週間おばぁちゃんの家で暮らすねんで。今日はお祝いもするねん。ケーキ買って帰ろうなぁ。なぁ。おばぁちゃん』

そう彩未はおばぁちゃんの隣に腰掛け、それを聞いたおばぁちゃんは

『ほんまか?そりゃ嬉しいね〜彩未ちゃんはどんなケーキがいいんや?』

と彩未の肩を抱いて耳元で聞くと彩未は首を傾げながら


『こんな〜に大っきいの。丸い苺の白いの』

と真剣な顔を作りながら両手で大きな丸を書いた。


『そうか。大っきい丸いのなぁ。またデパート行かんといかんね〜』


そうおばぁちゃんが言うとそう彩未はおばぁちゃんの顔を小さな両手で挟んでムニムニと押した。


そんな2人のやり取りがとても香奈は可愛いと思った。

それからすぐにおばぁちゃんの秒に先生と看護士さん2人が入って来た。

『伊藤さん。今日退院大丈夫ですよ今日は外来もあまり忙しく無いのでね。後で荷物持って外来来てください。病状説明しますから〜』


そう明るく弾んだ声でまだ若い男性の医者が言った。

紀子は深々と頭を下げるとおばぁちゃんの少ない荷物を右手に下げた。


おばぁちゃんは「うんしょ」と言いながら少し乱れているベットの白いシーツを両手で伸ばした後、忘れ物が無いか?周りを見渡し。そして、襟の大きなふかふかして柔らかそうなグレーのコートを羽織った。