なんで・・・・・
あたし・・・・また・・
泣けそう・・・。
足から力が抜けていく。
椎の頭を優しく撫で下ろすカイの大きな手。
カイは椎の耳元に顔を沈めて小さい声でささやいた。
「こないだは・・・
悪かった・・・。
俺のこと・・・
許してくれる?」
椎はきゅっと目を瞑って頷いた。
うん。
「ありがとう。」
大きなカイの親指が椎の目尻の涙を拭う。
「学校まで一緒にいけなくてごめん・・・
テスト頑張れよ。」
カイはいういって次の駅で降りた。
2分ちょっとの時間が・・・・
なんだか長く感じれた。
今も泣きそうな顔をしている椎に
背中をポンポンしてくれる奈菜。
「この涙は・・・きっと痴漢じゃなかったことが分かって
安心してるからだよ。」
「うーうむ。そういうことにして置こう!
しかし小宮くん相変わらずカッコいいね!!
話聴いてるあたしまでドキドキしちゃったよ!
最初は痴漢から電車マンの話で
新しいロマンスが始まる予感???だったけど
まさか・・・小宮くんだったなんて!
回りにバレるかも知れないのに凄い勇気だと思うよ!
それに小宮君ちゃんと謝ってくれたじゃん。
それだけでもえらいよ。うんうん!えらい」
まさか・・・
今のカイと一緒に電車登校なんて想像もしてなかった。
「男のちっちゃなプライドは恐ろしいものなの!
物理的にどうにもできない本能ってやつ?
それに負けた自分のことちゃんと謝ってきたからえらいってことよ!
ほら今の男の子ってさ~
何人と付き合ったとか
誰とやったとか
何回やったとかそういうの自慢したい歳じゃん。
実際らっぱを吹いて大げさに話してるよ」
「奈菜・・・大人発言。」
「いいじゃーん
ドキドキいっぱいでボロボロになったテストなんて!
あたしは全然いいと思う!
それに・・」
「それに・・・?」
「椎が普通に小宮くんの話出来るようになって嬉しい!」
「それは・・・まぁ・・・
そのために・・・転校したからね・・・。」
「あ!それから
女は男と違ってスキンシップから好きになるからね!
ちゃんと覚えておくんだよ!」
「まさか!!
うちらに限ってはそれは無いよ!
ありえないの奈菜も知ってるくせに・・・適当なこと言わないでよね~
無い!無い!」
「そう?
あたしは今ので好きになっても全!然!可笑しくないと思うけどな~」
