「おみくじも引く?」
日向は人々がおみくじをやってる場所を指差した。
「ううん!占われる女になりたくない!人生分からないから面白いじゃん。みたいな」
「へえーなんか椎ちゃん大人だね!」
「そうですか?奈菜ちゃんから聞いたかもだけど
周りが派手な割には普通に生きてきたから見えない未来をちょっと楽しみたいだけです!」
そう答えて椎はニッて笑顔を見せた。
神社から出て最寄の駅まで歩いてたら
色んな人からチラッと見られる二人。
「椎ちゃん可愛いからみんな見てるんだね。やっぱり」
「ううん!
たぶん日向くんのこと気づいたんですよ!週末の試合も凄かったし」
「いつも謙遜だね。椎ちゃんは・・・。」
「日向くん。あれー!
うわ・・・・!
本当にデビューするんだ・・・」
椎は駅前の大きな看板を指差した。
電子広告パネルには
キスリップ正式デビュー決定!タイトル曲作業にメンバーが参加!
「好きなアイドル?」
「ううん・・・」
椎は小さく顔を横に振った。
「あたしの・・・
幼馴染です。
いつの間にか
あんなに・・・キラキラしてる・・・
凄いな・・・・どんどん遠い人になっている。」
小さくつぶやきながら電子広告パネルを見上げている椎の表情には
誇らしく思えるものも悲しそうにも見える何かがあって
日向は今広告パネルに移ってる顔を見て、
<小宮カイ>の名前を見て
初対面の時と同じく、モヤモヤな不快感を思い出した。
「ただのお隣さんじゃないって気がしてたよね」
日向は
爽やかな笑顔でインタビューをしているカイの顔から
こないだの涼しい声を思い出してた。
いっそうアイドルとファンでいればいいのに。
