うちら、恋愛出来る?!


一緒に勉強しようって言ってくれた椎は留守だった。

なんでいないんだよ・・・ってちょっと考えたけど

カイは今、

昨日椎のメールに返事をしなかった自分を責めつつ家へ帰る。

玄関に入りドアを閉めるとやっとほっとする。

いつもどこかで誰かに見られてるっていう意識から開放される瞬間なのだ。

「ただいま。」

誰も居ないようだ。

でもリビングには灯りが付いててさほど寂しいと感じない。

いや・・感じなくなったって言うのが正解だ。

自分の部屋のドアを開け

壁についてる電気スイッチのボタンを押した。

カイは思わずカバンを床に落とした。

カイの目に入ったのは赤いソファーで眠ってる椎の姿だった。

少し開いた窓から木漏れ日のように風が入り

椎の前髪をなびかせている。

カイは静かな足取りで椎の方に歩き出す。

窓のドアを閉める代わりにブラインドを下ろした。

「ここ・・俺の部屋ですけど・・・」

自分家でもないのに熟睡している椎が不思議。

今、この時点、俺の部屋に椎がいるのが不思議。

床に座ったカイは赤いソファーに頬杖をついてじーーーーっと椎の顔を見つめた。

椎もたぶん、

昨日こうして俺のこと見てたんだよね。

双子は豊さんに似たのか色黒だけど

椎は真っ白。

昔はあまのじゃくみたいに男の子と同等に張り合おうとしてたころがあった。

双子兄弟の背中を見て育ったから仕方ないと思う。

そして
流川3兄弟と姉に守られた俺のカヨワイ暗黒時代もあったけれど

あのまっしろなお肌のせいか俺に椎はいつもあえかにみえてた。

椎のお母さんが亡くなってからは特に・・・。

別に椎が可愛そうとか思ったことはない。

ただただ

双子みたいに強くなりたい!

強くなって、これからは僕も守るんだ。

って幼い心で真の男になりたいと願ってた。


でも

今の俺は

目の前で眠っている椎に

キスしたい。