「お母さん、
今日家にいるって珍しいですね。」
「今ね、ちょっとお父さんと色々準備してるのがあってね。
書類取りに来てて、最近あんまり寝てないからソファーに座ってたら
いつの間にか寝てしまってだのよ。ほほほほ」
「大変ですね。あ、もしかしたらあたしお邪魔ですかね?」
「何を言ってるの?椎ちゃん!ちょうど助かったところよ。
椎ちゃんが来てくれなかったら朝まで起きれなかったよ。あ!本当にもう出ないと!」
時計の時刻を確認した佐恵子さんはソファーから立ち上がった。
「じゃあ、あたしも・・・」
「椎ちゃんはカイと勉強でしょう?
もうお母さん椎ちゃんがきてくれたからね、
色々おしゃべりしたいけど良かったらカイの部屋
で待ってて!お仕事終わったらすぐ帰ってくると思うし」
「あ、でも・・・」
「いいの、いいの!仲良く勉強してあげて。
それだけでも心安らかになると思うからお願い!」
佐恵子さんがすっごくカイのこと心配しているのが伝わってくる。
思春期の息子に何をしてあげればいいのか、
それが出来る時間さえ足りなくて
親に言えないことなど友達には言えるっていうか
何かあったら親が一番最後に知るっていうか
はっきり相談に乗ってあげてとか、話聞いてあげての表現じゃなかったけど
佐恵子さんの気持ちはなんとなく分かった気がした。
