椎の家の中央玄関を出ると真正面に公園の入り口が見える。
その入り口の左側には長いベンチがあるんだけど、カイの目先に人影が見えた。
その人影もカイに気づいたか前へと歩きだしていた。
「あの・・」
先に声を掛けたのは人影の方だった。
「あの、椎ちゃんのお兄様ですか?」
しいちゃん?
「馴れ馴れしく呼び捨てしてんじゃねーよ」
「はい?あ、僕は日向と言います。今妹さんと・・・」
カイは彼が前へと歩きだしてきた時から誰なのかすぐに分かった。
ワイン色のベースボールバック
原宿の時と一緒。なんて椎に馴れ馴れしい奴なんだろう。
ってか、お兄さん?
っていうのはまだ紹介してもらえてないってこと?
なんーだ。やっぱり手抜きしてんじゃん双子!!!
「俺、椎のお兄さんじゃない。」
かしこまっていた日向の姿勢からもっと増した緊張感が漂ってきた。
「じゃあ、誰?」
「誰でもいいでしょう?
そんなことより椎のこと苦しませたら許さないから」
カイは静かな声で言った。
急にそんなこと言われても・・・。
「誰なのかも分からない人にそんな指図される筋合いねーよ」
日向は双子のように体が大きくて、男前の顔をしてる。
ピッチャーであるだけ肩が凄く広かった。
やっぱり双子の影響だな・・・これは。ちくしょー!
「じゃあ、ちゃんと覚えて貰おうかな、野球選手さん。
俺の名前は小宮カイ。ただのお・と・な・りさんだよ。」
「お隣さんって・・・」
ただのお隣さんって言った割りにカイの表情や声はただじゃなかった。
「あ!ちなみにただのクラスメートでもあります。では宜しくー」
日向は言葉の表現とはうらはらにストレートの直球を投げられた気分だった。
「俺は日向聖夏。園田実業高校2年で椎ちゃんとお付き合いさせてもらってます。宜しくお願いします。」
変な気分になった。
椎の口からは絶対に聞きたくない、絶対に言わせたくない言葉。
「お隣さんは気にせず双子に挨拶させて貰えば?
あ!それから練習頑張って!野球選手さん。椎が応援してだよ。
じゃあ、そういうことで。」
日向も変な気分になってた。
なんで
ただのお隣さんに双子の兄さんに挨拶させてもらえばとか
椎ちゃんが応援してるから野球頑張ってとか言われなきゃなんないわけ?
本当に隣のお家へ姿を消した小宮カイをみて
日向は考えれば考えるほど対決挑戦状が飛んできたように思えてきた。
「今日はこれで帰るか」
<椎ちゃん。寝てるかな?起こしたらごめん。練習終わって帰るところだよ。
今週も会えなくてごめんね。週末の試合終わったらデートしよう!火曜日は練習早く終わりそうだから椎ちゃんが行きたいとこ行こう。明日また電話する。お休み☆>
着信メールを読み終えた椎はケータイの返信ボタンを押して返事をするかどうか迷ったけど工の声にケータイをしまった。
「なんで椎とカイは一緒にいるといつも喧嘩するのかな?」
「喧嘩・・・してないよ。あたしがアイドルにいけない質問したみたいで怒らせてしまって。」
「アイドルにじゃなくて、カイにね。椎」
「うん?」
「カイは、椎にはアイドルじゃなくてただの友達、いや友達っていうのもちょっとあれだけど普通の15歳の男の子小宮カイとして接して貰いたいんじゃないかな。普通なら喧嘩っていうのも仲良しの証拠になったりするけど椎達はちょっと違うって言うか。まぁとにかく、お兄さんはなんでカイが勉強してるうちに帰ったのか分かんないけど椎だけのせいじゃないと思うから自分責めるのはやめてな。それでも気になるのなら謝ればいい。」
椎は黙って頷いた。
その椎の頭をポンポンとした工は椎の部屋から出た。
椎は綺麗になっているテーブルの半分をじっと見つめてから教科書をしまってベッドにダイブした。
「気になるじゃん・・・カイの馬鹿・・・。」
カイを怒らせるつもりはまったくなかった。
よくよく考えてみればモヤモヤしている相手は日向くんだ。
あたしったら本人に直接言えばいいことをなんでカイに言ってしまって・・・。
カイもあたしからの相談って言うのも初めてだからびっくりしたかもだし
またもや二人で恋愛の話なんてしたこともない。
小さい頃からお互いのそういうエリアには触れたことないな・・・
少なくともカイは・・・したことない。
ビッ。
色々考えずにメールすることにした椎。
「カイ。明日もまた一緒に勉強しよう。スケジュール終わったら家に来て!」
その入り口の左側には長いベンチがあるんだけど、カイの目先に人影が見えた。
その人影もカイに気づいたか前へと歩きだしていた。
「あの・・」
先に声を掛けたのは人影の方だった。
「あの、椎ちゃんのお兄様ですか?」
しいちゃん?
「馴れ馴れしく呼び捨てしてんじゃねーよ」
「はい?あ、僕は日向と言います。今妹さんと・・・」
カイは彼が前へと歩きだしてきた時から誰なのかすぐに分かった。
ワイン色のベースボールバック
原宿の時と一緒。なんて椎に馴れ馴れしい奴なんだろう。
ってか、お兄さん?
っていうのはまだ紹介してもらえてないってこと?
なんーだ。やっぱり手抜きしてんじゃん双子!!!
「俺、椎のお兄さんじゃない。」
かしこまっていた日向の姿勢からもっと増した緊張感が漂ってきた。
「じゃあ、誰?」
「誰でもいいでしょう?
そんなことより椎のこと苦しませたら許さないから」
カイは静かな声で言った。
急にそんなこと言われても・・・。
「誰なのかも分からない人にそんな指図される筋合いねーよ」
日向は双子のように体が大きくて、男前の顔をしてる。
ピッチャーであるだけ肩が凄く広かった。
やっぱり双子の影響だな・・・これは。ちくしょー!
「じゃあ、ちゃんと覚えて貰おうかな、野球選手さん。
俺の名前は小宮カイ。ただのお・と・な・りさんだよ。」
「お隣さんって・・・」
ただのお隣さんって言った割りにカイの表情や声はただじゃなかった。
「あ!ちなみにただのクラスメートでもあります。では宜しくー」
日向は言葉の表現とはうらはらにストレートの直球を投げられた気分だった。
「俺は日向聖夏。園田実業高校2年で椎ちゃんとお付き合いさせてもらってます。宜しくお願いします。」
変な気分になった。
椎の口からは絶対に聞きたくない、絶対に言わせたくない言葉。
「お隣さんは気にせず双子に挨拶させて貰えば?
あ!それから練習頑張って!野球選手さん。椎が応援してだよ。
じゃあ、そういうことで。」
日向も変な気分になってた。
なんで
ただのお隣さんに双子の兄さんに挨拶させてもらえばとか
椎ちゃんが応援してるから野球頑張ってとか言われなきゃなんないわけ?
本当に隣のお家へ姿を消した小宮カイをみて
日向は考えれば考えるほど対決挑戦状が飛んできたように思えてきた。
「今日はこれで帰るか」
<椎ちゃん。寝てるかな?起こしたらごめん。練習終わって帰るところだよ。
今週も会えなくてごめんね。週末の試合終わったらデートしよう!火曜日は練習早く終わりそうだから椎ちゃんが行きたいとこ行こう。明日また電話する。お休み☆>
着信メールを読み終えた椎はケータイの返信ボタンを押して返事をするかどうか迷ったけど工の声にケータイをしまった。
「なんで椎とカイは一緒にいるといつも喧嘩するのかな?」
「喧嘩・・・してないよ。あたしがアイドルにいけない質問したみたいで怒らせてしまって。」
「アイドルにじゃなくて、カイにね。椎」
「うん?」
「カイは、椎にはアイドルじゃなくてただの友達、いや友達っていうのもちょっとあれだけど普通の15歳の男の子小宮カイとして接して貰いたいんじゃないかな。普通なら喧嘩っていうのも仲良しの証拠になったりするけど椎達はちょっと違うって言うか。まぁとにかく、お兄さんはなんでカイが勉強してるうちに帰ったのか分かんないけど椎だけのせいじゃないと思うから自分責めるのはやめてな。それでも気になるのなら謝ればいい。」
椎は黙って頷いた。
その椎の頭をポンポンとした工は椎の部屋から出た。
椎は綺麗になっているテーブルの半分をじっと見つめてから教科書をしまってベッドにダイブした。
「気になるじゃん・・・カイの馬鹿・・・。」
カイを怒らせるつもりはまったくなかった。
よくよく考えてみればモヤモヤしている相手は日向くんだ。
あたしったら本人に直接言えばいいことをなんでカイに言ってしまって・・・。
カイもあたしからの相談って言うのも初めてだからびっくりしたかもだし
またもや二人で恋愛の話なんてしたこともない。
小さい頃からお互いのそういうエリアには触れたことないな・・・
少なくともカイは・・・したことない。
ビッ。
色々考えずにメールすることにした椎。
「カイ。明日もまた一緒に勉強しよう。スケジュール終わったら家に来て!」
