バスラブストーリー





必死になって覚えているうちにあっという間にバス停に到着してしまう。


(やばい!もうついちゃった!!)

(こんなことならちゃんと勉強して来ればよかった…)


あまり眺めていられなかったことを残念に思いながら慌てて本やペンをしまい、降りる準備をする。


「ご乗車ありがとうございます。お待たせいたしましたー。桜ヶ丘大学前でーす」



立ち上がりながら定期を出し、あまり混んでいないバス内を慌てて前へ進む。


ピッ


Suicaでタッチを済ませ運転手にお礼を告げてバスを降りる。



(今度からはちゃんと勉強しなくちゃ)



そう思いながらバスの横を歩く通り過ぎざまに、後ろ側の席の窓に視線を上げる。



すると、男性が少し前のめりになりながらこちらを見下ろしていた。
その目は何かを訴えているように、じっと由美を見据えていた。



「……え?」



思わずこぼれた声もバスの発車エンジンの音にかき消されてしまう。