季節はめぐって
俺と先生はどんどん仲良くなった
俺も大人になって素直になってきて
先生はより、綺麗になって


でもまだ言いたくなくて



気づけば出会ってから2年が経とうとしていた



「超えた!!!」

もう何度目かわからない背比べ

「ほんとだー俊ちゃんのが高い!すごいねー大きくなったねぇ」


ついにこの日がきたんだ



「先生…






















…結婚おめでとう」


「ありがとう」

俺の頬を一筋涙が流れた
「好きだった」




季節がめぐる中、色々なことがあった


仲良くなって俺に好意的になってくれても

先生に彼氏ができて、うまくいってる話を聞いても

まだ言っちゃダメだって、大人になってから言おうって


そんなプライドがあったから



…プライド?



違う

ただ単に臆病で、自分に自信がなくて
背さえ超えればなんとかなるだなんて過信してて


結局、背なんか超えても幼稚な俺も、先生の好きな人も

なんにも変わらなくて





「もっと早く言ってたら何か変わってた?」
「うん、変わっていたかもしれない」

「今日の告白では変わらない?」
「うん…ごめんね」


言っていたら何かが変わっていたかもしれない
それが今わかるから余計に辛い




あのとき、言わなきゃいけなかったんだ

小さかったあのとき
でも気持ちは溢れるくらい大きかったあのとき





でももう先生は結婚する
俺の告白にも動じない



「俊ちゃんは…あたしなんかよりずっといい女の人と結婚できるよ」

でも俺は先生がよかった
先生の隣に、背高く並びたかった


絨毯にポツポツと俺の涙でシミができる



振られることは予想済みで、諦める覚悟はできてた

でもこれを乗り越えるには、思い出にするには
まだまだ時間がかかる


でも俺ならきっとできるはずだ
あんなに我慢できたんだから


「この経験を…絶対ムダにはしません」


俺は顔をくしゃくしゃにして

次はちゃんと想ったことを、想ったときに、言うんだ

と心に誓った