俺は今アイツと共にルカの家で寝泊りをし、学校に登校している。

ほとんど一緒に住んでいる状態だ。
部屋だって空いているし?

親は喜んで送りだしてくるし?
キャッシュカードももらった。

なぜ寝泊まりしてるかってっとルカが一日置き位に夜中ふらっと出かけ

時には血飛沫を浴びて帰ってくる事を知ってからだ。

意識は混濁し、目は虚ろだが怪我はしていない。受け答えはできる。

ただ血が足りない為一日は寝て過ごすのだ。少しは血が増えるから。

学校を休みがちなのが気になって行ったらその辺血だらけだったときに遭遇した。

お世話役はいるんだけど俺らが来たことによって最終的には帰ってもらった。

何を聞いても終始無言だ。

俺はイラっとしてついにブチギレた春の夕方午後6時半。

台所で夕食を作るルカと手伝いをするアイツと役に立たないという理由で

ダイニングの椅子にドカンと腰をかけている俺。

流華はよく食事を作る。趣味みたいなものなのか?女子力はそういう意味ではたけえ。

だけどなにかが違うような気がする。とにかく無駄なもんが好きってのはいいことだ。

俺は無駄なものに価値を感じる。
絵とか飾りとか。
こうゆうもんがないと潤いってないよな。

俺らはそんなに食事によって得るものって少ないんだよな。


「なあルカ!!今日も行くのかよ。」

無躾だが聞いてみる。気になるじゃん。あんなの。

「・・・・・。」

聞こえている確信はあるが・・ルカはまるで聞こえていないように

ポーカフェイスだ。流石ツンドラと呼ばれるいとこ殿。女神だっけ?いろいろ呼び名はある。

だが今日の俺はめげない。

「答えろよ!」

ドンっとグーをした手でテーブルを叩く。

「やめなよ。折角の一点もののテーブルが痛むだろ。腹が減ってるからって五月蝿いんだよ。」

アイツが助け舟を出すように誤魔化す。

・・テーブルなんてお前だってどうでもいいくせに。

「腹は減ってるが!それで怒ってんじゃねえよ。仲間だろ!隠し事はナシでいこうぜ!」

「単細胞・・」

アイツはいらないことを聞こえるか聞こえないか位の声でいつも言う。

「泊まってくれなどと頼んだ覚えはない。」

夕食を運んできたルカは俺にそう整いすぎた顔で言った。

「誤魔化すなよ。分かってんだろ!それに泊まるのが嫌なわけじゃねえよ・・俺が言いたいのはっ・・」

俺はルカの手首を掴んでしまった。

(しまった・・)

耳じゃない空間からゴオオオオオ・・という音が聞こえる。

色んな視覚がシャットアウトされていく。

その中でざわめく魑魅魍魎の声みたいな不気味な空間に強制的に入っていく。

「わわわわわ・・・・・」

世界が変わっていく感じ。これ・・が流華の持っている邪気・・。

久々にみたが・・余計やたらとでかくなってやがる。

掴んだまま離せなくなってしまった俺の手はチキンじゃないけど震えている。

目玉の視線だけルカに合わせたがルカを包むオーラが真っ赤に染まり

俺を見る目の色まで赤くルビーでもピジョンブラッドって呼ばれるような深く美しい赤に。

「あらら・・・やっちゃったねえ。」

アイツは夕食と自分を守る為だけの防御シールドみたいなものを印を結び張った。

≪あのぅ・・俺は?≫ 

≪お前が悪い・・自分でなんとかしろ≫

こうゆう時のルカは異常で危険だ。仲間とか親戚とか関係なくなる。

ルカの数少ない地雷なのだ。手首をつかむという行為が。

スイッチが入るとルカは自分の中にあるそのナニカや邪気を押さえつけようと

抵抗する。この時間を稼いでくれてるのは流華自身なんだ・・俺がそうさせてしまった。

もう片方の手でポケットをまさぐる。

俺はシールドみたいなものは殆ど張れない。張れるけど正直しょぼい。

どっちかというと攻撃系統なんだから。
抑えきれない赤い炎が迫ってくる。
もう熱い。

アイツも封印術式なのか何かを用意し始めている。

俺に止めきれなかったらなんかするんだろう。

俺・・止めきれなかったら死ぬじゃんっ!!

えーと・・何個か・・

前島主であり純血である祖父に貰った
何回か使える呪符みたいな
蒲鉾板みたいな・・札?
を持っているはず。

焦ってたらもうよくわからない・・

盾術か封印術覚えるまでこれが持てばイイケド・・・。

てかなんでもいいからなんか効きそうなやつ!!なんせ札!

手探りで探し当てたと思った瞬間に必死でルカの胸の中央に押し付けた。

≪バカ・・それ違うっ≫

アイツの声が聞こえたと思ったら・・眩しい紫色の光がペカーっとした。

蜷局を巻くように爺様の声と空間に黒い呪印文字が真上に浮かび上がり流華に向かって行く。

そして文字がルカの体を縛り付ける。懐かしいなあ爺様の声。。

いや!和んでる場合じゃない。

なんと・・

ルカがみるみるうちに小さくなっていく。な・・・なん・・だ?

おぞましい空間もふすまをパツンパツンと音がして閉じていくんだが・・・。

「早く引っ込めて!!!ルカがなくなっちゃうよ!!!」アイツの声が聞こえる。

それを聞いて咄嗟に引っ込める。手首も離せた。

・・・・・。

目の前には10才位まで若返った?ルカがいた。

身長も170センチから150ちょいになっている。

普段10センチ位しか変わらないのに30センチ近くも変わるとさすがに・・引く。

赤い炎も目の色も赤茶色のいつもの目で・・怖くは無くなってはいるが・・・。

俺はきょとんとしてしまった。

「え?」

「純ちゃん・・ゴメン」

幼さの残る前よりほんの少しだけ高めで舌足らずな声になった気がするルカが・・

ブカブカになった服で見上げて言う。

「こ・・こちらこそ・・すんません・・というか・・はは」

愛想笑いをしても頭が混乱して・・

俺は・・


「えーーーーーーーーーーー??!!」



というしかなかった。その声の拍子にかは分からないけど制服のスカートがストーンと落ちて

シャツだけになってしまった・・気にする様子はなく普通に夕食を食べ始めた。

「瞬ちゃんご飯さめるよ。」

パンツはぬげないのだろうか・・・

だめだ!今こんなことを考えるのは人としてアウトすぎる。

「うん。すぐ行くよ♪」

等と会話が成立している。

俺の・・目だけがおかしいのか?

幼馴染のいとこ殿が幼女に見えるど変態なのか俺??

「純ちゃん・・瞬ちゃん・・」

ルカが神妙な顔で言う。

「なんだい?」「な・・ななななに?」

俺らは答える。

「今日オツトメがある。一緒に来るか?身の安全は保証しないが。」