おおアイツからこんな言葉がでるなんて・・

「このバカの為に教えといて。」

「カンは・・・時に鈍るのだ。味覚と似ている。体調が悪いとき・冷たすぎるものを飲んで暑すぎるのを飲んだとき常温がわからなくなる。地図で方向を変えられたとき・・それを信じてたとき例えば日本だと言われてNYの日本人街を歩いてたとき・・引き返すのに思い込みは時に足を引っ張る。」

そう言われるとわかるぜ。

「たしかにね・・」

「戦闘術の中でのカン。武術でのカンは逆に相手に誘導されたりもする。でも戦闘も鍛錬の積み重ねで動けるものであってカンだけでは成り立たない。私はな。」

「流華はその思い込みを逆に利用したりもしてるよね?あの女の子だれだっけ?ミカリン?とかカクのときは特に。」

「ああ・・そうだな。それが通用する相手なのかというのは話口調や仕草から少し観察している。絶好のタイミングで出すようには見極めているつもりだがあのように少々意地の悪いことをしてしまうこともある。」

たしかにな・・。いつも最初に少し話をするのはどういう相手の性格か能力かを見定めてるのか。

しかし・・あれは酷いイジメだったぜ。

「なぜ人間は弱いものを虐めるのじゃ〜」

タマが割り込んでくるとは・・思わなかったぜ。

でもそうなんだよな。

こいつってば流華のことをまだおなごって呼んでるしあれを見てそう思ってんだろうな。

「タマ殿我々は人間ではまずない。人型動物なのだ。」そこから?

「でも人間の器にはいっているんじゃろ〜?」

「ああ。そうではあるが、個人的に言えば私は強いものでも親しいモノが傷つけられたり虐められたら腹が立つ。それを抑えることはしない。引き裂いても死んでおろうがなんであろうが10倍返しするであろう。ただ今回は相手が弱いものであった。それだけである。」

「ワシがこやつを虐めてもかの〜?ワシを虐めるのかの?」

「ああ。同じである。体術的に無理ではあると思うが精神的にイジメたとしてもだ・・精神的にも肉体的にも借りは存分にかえさせてもらう。ただ・・」

「ただ・・なんじゃ?特例でもあるのかの?」

「特例はまず、ないが・・イジメなければ弱かろうが強かろうが興味がないゆえ・・虐めぬであろうな。私には動物も怪物も人間も区別しない。」

・・だとさ。怪物も?

やるからやり返される・・んで10倍返し・・だけど・・元々やらなきゃやらないとさ。

「ほう〜人間に当てはめるには枠が小さかったかの〜。」

確かにそうだ・・。

「それはどうか分からぬ。私自身人間の一回目だからの。でも私の身内は虐めてはならぬ。これは島や私が決めた掟で絶対なのだ。」

・・・流華の持論は痛いほど知ってるけど・・人間一回目って人生で初めて聞いた。

「なるほどのう・・しかし〜その持論でいうとじゃなお前さんは純一を精神的に虐めたであろ〜ワシ傷ついてるこやつを見ているのじゃ」

タマ!いいことゆうぜ。でも大前提が。

「タマ殿・・こやつはの・・先に私を虐めたのだ。それを2倍くらいに返されただけである。これでも十二分に考慮している。島主に喧嘩を売るこやつが悪い。」

う・・2倍ですんでたのか・・・。

確かに流華ってやつは野球グランドを見た限りやるときはとことんやるヤツだ。

馬鹿すげえ力と・・富士山じゃねえ・・エベレストか!位高いんじゃないかと思うプライドまで持ち合わせてる。そして気が短い!!

「そうだ。俺は先に流華を虐めたぞ。」

威張って言えることじゃないが・・。アイツの冷たい視線が痛い・・。

「お主女子を虐めて逃げてきたくせに〜いじけておったのか〜情けないのう」

「お前なタマ!俺はそうゆうのがなければさー俺はお前に会うこともなかったし!結果オーライでいこうぜ!!そしたら俺はお前に助けらることもなかったかもしれないけど・・確かに俺は情けなかった。これでも流華は・・こいつは傷ついてる。」

俺はもう開き直・・るしかない。タマを抱いて宥めるように言った。

俺の弁護をしてくれるのと同時に人間の悪とはなんなのか知りたいこいつの気持ちもわかる。

「ほ?この女子が傷ついてると?」

「そうだ。俺が言ったのは存在やこいつの努力・・の全否定だ。流華がやってきたこと何十年も何百年も受け継がれて追うことの使命・・そして今の立場・・それでも俺らをあんな絶望的ピンチで救いに来てくれるヤツをおれは根本から全否定したんだ・・」

流華が俺の肩をポンと叩く。

「傷ついてなどいない。・・もう自分を責めなくても良い。裁くことなど容易い。それよりもっと大事なことがある。理解しているのなら終わったことである。」

嘘つき・・。

傷ついただろあの時の俺を見た顔は・・泣いちゃいなかったけど・・

俺は感覚で知ってる。

「ただ・・二度目はない。」

は・・・はい・・・全力で承知です!!

「任を解くとかとかないっていうんはなんじゃ〜?」

「俺は役職についてるんだよ・・んでそういう柵から俺を楽にしてやろうとか・・こいつなりの思いやりだよ。お前を俺が見捨てられなかったように・・」

「思いやりのう・・そうは見えんのう〜じゃがわかった。お前たちは絆で結ばれておるのじゃな・・そして流華殿は確固たる意志で掟をつくり・・ワシが失ったものを追って修羅の道を進んでいるのじゃな」

「ああ・・・・それはまちがいない。」

あれ?ルカ殿にかわった・

「流華黒い女の人が言った邪気が関係しているんじゃないかって推測ってどう思う?」

アイツが話のラインを変えた。

「んー多分だが・・邪気を食らうというのがキーなのは確かであろ。潜在能力は似たようなものだとあの場では言ったが私が一番邪気は持てると思う。出来ることは先ほど言ったように似たようなものなんだが・・」

「その流華の邪気を喰らったら・・ハンディを受けるのかな?」

「そうかもしれぬし・・その一族は開放されるのかもしれぬな。賞品みたいなもので。」

「まだわからないんだね。」

「うむ。しかし赤・青・黒・・あと何色あるのかは調べたい。知っていて損はない。」

「青は葵なんでしょ?」

「ああ・・だが翠が少々気になるのだ。」

流華は少し考え込むようにソファに寝転んんだ。

髪を踏まないように持ち上げて座るんだけど銀の髪が揺れてキラキラサラサラとしててすげえ触りたくなる・・・俺・・我慢!!

今度ドライヤーでもしよう・・。