野球男子が恋をした。



少し遠慮がちに近づいて、イヤホンをつけた。


そこに流れてきたのは、あの歌だった。


しっかりと歌詞のついた、美しい旋律。


「………っ!これ…」


思わず漏らしてしまった言葉。


その言葉に反応したのか、前を向いたまま彼女は言った。


「この歌、好きなんですか?」


俺は、あぁ好きだな。そう笑いながら言った。


なんだか、好きという言葉が照れくさいような気がして。


すると、落ち着いた声が返ってきた。


「私も、好き」


一瞬にして、心臓がドキリと高鳴った。


私も好き。その言葉が自分に言われているような気がして、透き通った声が頭の中から離れなくなった。



俺も、好き。





心の中で、そう呟いた。


歌が好き。あの歌を歌っている声が好き。





そして…………………………___________