野球男子が恋をした。



「おーい!俊祐!!」


先輩に呼ばれ、仕方なく駆け足で戻る。


あの歌声は誰だろう。


そう考えながら、ふと屋上を見上げた。


太陽が邪魔をして、よく見えなかった。


でも、なんとなく、ぼんやりとだけど…人がいた気がした。











その日の帰り道。新しく友達になった西堂 雅紀と話しているときだった。


あの鼻歌が頭の中を流れ始めた。


「…………ふふーん………ふーん」


少し口ずさんでみる。柔らかい声を、美しい旋律を思い浮かべながら。


すると、いきなり隣で雅紀が笑い始めた。驚くくらいに腹を抱えて笑っている。


「な、何だよ。そんなに笑って」


「……っ、だって、お、お前……歌ヘタすぎっ!!」


「っ!知ってるよ、そんくらい!ただ…」


「ただ?」


ただって?自分でも、何を言いたかったのかがわからなかった。