約束~始まりの場所~

「俺さ…。」

「私、やっぱり今日は帰るね!!」


話そうとした瞬間、吉田が遮る。


「何か雨降りそうだし。」


そう言って、鞄を持ち部屋を出る。



「吉田…。」



また逃した。


「駅まで送るよ。」


靴を履く彼女の背中に言う。


「ううん。今日はここでいい。

ごめんね、ヘンなこと聞いて。頭冷やすね。」


"じゃあ。"とドアに手をかける彼女に

何も言えないまま見送る。


俺も頭冷やさないとな…。


そう思いながら部屋に戻る。