「あの…。家の鍵貸してくれない?」


「はぁ?家って、お前ん家?」


「うん、そう。」


少し恥ずかしそうに言う桜。


「いいけど…。お前、自分家の鍵忘れたの?」


「だって…。」



俯きながら恥ずかしそうにしている

桜に結木家の鍵を渡す。


ほとんどはおばさんが家にいるから使わないけれど、

念のためと俺の分も作ってくれたやつだ。


「お前1人なの?」


「うん。お母さん、

今日はおばあちゃんの家に行ってるの。

ご飯までには帰るって言ってたけど。」


「そっか。」


"ありがと。後で返すね。"

そう言って桜はドアを閉める。


"アイツ1人で大丈夫かな?"

と思いながら麦茶を入れ、部屋へ戻る。