例年に比べ、少し遅かった桜の季節も終わり

ジメジメと湿気を含んだ風が吹く6月の終わり。


制服も冬服から夏服に変わって

ブレザーからカッターシャツになった。



弓道着を脱ぎ、制服に着替える。


この季節、正直弓道着はキツイ。


風通しが悪く、部活が終わる頃には

汗でベタベタする。


「お疲れー。」


後輩達に挨拶をして道場を出る。



「春輔。」


吉田が俺に気付き、手を振る。


「待たせたな。」


そう言って、彼女と一緒に歩き出す。


このままじゃいけないと思いながら、


なかなか別れを切り出すタイミングを


掴めずにいる俺。



本当、情けなくて最悪。