「いや、なんでもねー。」


そう言って、桜から目を逸らす。



「ほら、続き早くやんねーと、5限目始まるぞ!!」


「あっ、うん。」



再び問題を解き始める桜を

バレないようにジッと見つめる。


少し幼さの残る顔も、


白い肌も、


サラサラで少し茶色い髪も、


シャーペンを持つ手も、


全てが愛おしい。


今、この時間こうやって

桜を見ていられるのは俺だけ。


小さな優越感に浸る。



今だけは、


俺だけの桜でいて――――――。