人気のない校門をくぐり、自転車に鍵をかける。


校舎の横を通り、弓道場へと向かう。


鍵を開けて中へ入る。



すごいねぇ!!


と、目を輝かせながら

道場の真ん中で矢を射る真似をする桜。


この時間、俺以外に練習に来るやつはいない。

放課後バイトでなかなか顔を出せず、

特別に使わせてもらっているのだ。


部室の隅にある机を道場まで出してくる。


「お前はこっち。」


「はぁい。」


相変わらずのんびりとした返事をしながら、

桜は駆けて来る。


「ここ座って用意して待ってろ。

俺、着替えて来るから。」


そう言い残し、部室の戸を閉める。