「読書の秋!ということで、おすすめの本をこのプリントに書いてきてください。ちゃんとおすすめの部分とか書くんですよー!」
読書か…。あ、そういえばあの小説って図書室のどこに置いてあるんだろう。というか、置いてるのかな?
放課後行ってみよ。

~放課後~

「失礼します…。」
図書室って、なんか緊張する…。
「……!羽田くん!」
「……!」
羽田くんもびっくりしたようだ。彼は本を読んでいる途中だった。
「よく…来るんですか?」
「はい。」
「あのね、羽田くん。ちょっと頼みごとがあるんです。」
「………?」
羽田くんは本を閉じてこっちを向いた。
「宿題の本を探したいんだけど、場所が分からなくて…。」
「分かりました。なんていう本ですか?」
「“怪物くんと少年のアメージング”なんですけど…。」
「……!あれ、読んだことあるんですか?」
「あ、はい。くせのある書き方に惹かれて…。嫌いな人がほとんどみたいだけど…。」
羽田くんは読まない派なのかな?
「俺、その本すごく好きです!」
「え…ほんと?!」
「はい!なんといっても主人公の言い回し!あと、5巻の話はハラハラして、たまらなくて、それで……」
「………。」
「す、すみません。びっくりしました?」
羽田くんは申し訳なさそうに言った。
「ううん!すごくその本が好きなんだよね?」
私は微笑んだ。
「………〃!はい…。あの、案内します。」
「ありがとう」
羽田くんって、楽しい人だな。

「はい。」
本を渡した。
「わぁ…。ありがとう。」
そういうと、また笑った。赤沢さんの笑顔っていつも温かい。俺はいつも横顔とか、誰かと喋ってるのをずっと見てたけど、今こんな近くで感じることができる。
心の奥がほんとうに温かい。
赤沢さんにはずっとずっと笑っててほしいな。