その時、刹那の耳に


『ねぇ、見て?あの人かっこいい!』

『本当だ!モデルさんみたい!』

『隣の人彼女かな?めっちゃ美人じゃん!』


そんな声が聞こえる中、遼誠は涼しい顔で歩いていく。


いや、聞こえてないだけかもしれない。



ーーー彼女…。
その言葉が、刹那の頭に余韻を残す。
そっか…今、彼女に見られてるんだ…。

でも、遼誠はかっこいいし優しいし、彼女いるんだろうな…。

というか、彼女ぐらい、いて当然よ!
じゃあ、なんでわたしと一緒にいるの!?
でも、彼女がいたらいたで、なんか胸がモヤモヤする…

何なの…?この感情は…


まさか、嫉妬…!?

嘘よ!

これじゃ、中美さんと同じじゃない!


ダメよ!
恋なんてしないって決めたもの!


刹華と約束したもの!

刹華との約束は、絶対に守らないと…


刹華は、誰からも信じてもらえないことになっちゃうもの…



わたしが、刹華を信じないと…



わたしが、刹華の笑顔を守り続けてきたのだから…

刹華を守るのは、わたしよ!!

誰にも、心を許したりなんか…