刹那は自分を見て驚いた顔をした遼誠と先生を不思議そうに見た後、遼誠に軽く会釈して先生に向き直る。


「これで、いいですか?

先生」


「おぉ!悪いな!

ありがとな。助かった。


もう、帰って大丈夫だぞ」


「はい。失礼します」


刹那は先生に礼をすると、そのままカバンを持って帰ってしまった。


そして先生も丸付けを終え、泉山に小テストを返す。


「泉山も今日はここまでだ。

これで、もう授業にはついていけると思うぞ。



俺は、お前の学力を見て、少し期待したぞっ?


頑張れよ!」


「ありがとう、ございました。」


遼誠はまた軽く伸びをしてから立ち上がり、用意をし始める。


「学年主席…、家柄…ねぇ…」


そんなことをつぶやく。

もう、空は赤く染まり始めていた。