なめらかに、弾むようなきらびやかな音が音楽室を飛んでいた。

遼誠は、思わず刹那の方を振り向く。


すると、刹那は少し苦しそうにピアノを弾いていた。


それは明らかに疲れたから苦しいのではなく、何か精神的なもので苦しんているように見える。


遼誠は心配になり、近寄ろうとしたら
みのりが近づいてきて刹那との間に入るように立つ。


「坂下さん、すごいよねぇ!
みのり、尊敬しちゃうー!

そう思わない?遼誠?」


みのりは、可愛くまばたきしながら遼誠を見上げて尋ねた。


「あぁ。
凄いと思う」


遼誠はみのりを避けながら刹那に近寄ろうとしたら


その様子に気づいた刹那が近づいて来ないでと、口パクで伝えてきた。



わたしは、平気だから…と。