結局、人質(=カバン)を取られた私は、熊の後をとぼとぼと歩き、自宅の最寄駅前にある、24時までやっているスーパーへとやってきた。
「おまえんち、調味料はあるのか? あ?ない? 米は?」
熊の厳しい詰問にごにょごにょ答えていると、熊はカゴにポンポンと食材を入れていく。
レンジでチンのご飯とか、缶詰とか。
「葉物野菜は日持ちしねぇしなぁ。」
ブツブツつぶやきながらも、葉物野菜であるはずのほうれん草をカゴに入れる熊。
結局、私は熊の後をついて歩いただけ。
熊の自宅用食材もあるとかで、お財布も開かせてもらえなかった。
「おまえんち、どっち?」
「本当にウチ、来るの?」
「おう。おまえ、ほうれん草、ゆでられるか?」
「っでっ、出来るよ!」
多分。
何分茹でればいいのか、いまいちわかんないけど。
うろんげな目でこちらを見やる熊。
無精ひげも生えて、熊度が増している。
「で、どっち?」
「‥八幡様の近く」
負けた。

