ようやく最低限の仕事が終わると、時計は既に22時を回っていた。
まだまだやらなきゃいけないことはあるけれど、今日はもう帰ろう。
晩御飯、どうしようかなぁ。
コンビニごはん、実はあんまり好きじゃない。
面倒臭いし、抜いちゃおうかな。
「お先にー。」
まだ事務所に残る人達に挨拶すると、カバンを手に持ち立ち上がる。
「終わったか?」
「!」
びっくりしたぁ。
熊が、隣に、立っている。
いつの間に?
「行くぞ。」
「どこに?」
「おまえんち。スーパー経由。」
「は?なんで?」
「食いもん、ないんだろ?」
ぎろり、と睨む熊。
迫力満点だ。
「‥ないけど、それがなによ。」
「おまえが倒れたら、周りが迷惑するんだよ。飯はちゃんと食え。」
私の手からカバンを奪った熊がのしのしと歩き出す。
「あっ!ちょっ‥!私のカバン!」
こちらを見てにやり、と笑った熊が一言。
「人質?」
ちきしょーー!!

