くまさんといっしょ

「っへよっ?!」

「‥‥ボールペンを食うな。」

熊の声がする。

上を見れば、何か言いたそうな、微妙な顔をした熊がいた。

「びっくりさせないでよ。」

「ボールペンを食うやつがいるなんて、そっちの方がびっくりだよ。食え。」

私の頭にポン、と分厚い手を置くと、顎をしゃくっておにぎりに目線をやる熊。

つつつ、とおにぎりに目をやる飢えた私。

「‥おおおっ!
シャケとツナマヨ!!
らぶシャケ!らぶツナマヨ!!
ありがとうありがとうありがとうっ!」

バリバリとおにぎりを包装から取出し、まずはシャケおにぎりに食らいつく。

ううう。嬉しいよう。

ようやく胃に食べ物が入ってきた。

あぁ、食道が、胃が、五臓六腑、全てが喜んでいる。

「おまえ、忙しいの分かってんなら、何か持って来いよ。」

熊が呆れたような顔をして、私の向かいの席に座る。

「いやぁ、そうなんだけどさぁ。
朝電車降りて、会社に向かっていると、コンビニに行く時間がもったいなくなっちゃうんだよねぇ」

「大した時間じゃないだろ?
それもいやなら、家から食いもん持ってくればいいだろ?」

「‥‥」

あぁ、おいしいなぁ。おにぎり。

「‥おまえ、家に食いもんあるのか?」

「ああああるよ!シリアルとかっ‥シリアル、とか?」

牛乳はないけど。

今朝もシリアルそのままパリパリやったけど。

「おまえ‥」

熊の眉がピクピクしてる。

「飯はちゃんと食え!
だいたいおまえ――」

「高峰さん、こないだ話してたハンディカム、どうする?」

熊の小言が始まりそうだったので、仕事の話をかぶせてやる。

小言、面倒臭い。

私は忙しいんだ。

「‥先方の希望で、やはりロス向けにしたいんですが。」

不満そうな顔で答える熊。

よし。仕事だ。