くまさんといっしょ

「何人の顔じろじろ見てんだよ。」

熊の声に、ハッと我に返る。

昨日、ぐるぐる色々考えて、結局訳が分からなくなってさっさと寝てしまった。

この場合、普通は眠れないほど悩むんじゃないか、という私の疑念は、朝のすがすがしい目覚めにより否定された。

っていうか、私よく寝た。

すっきりさっぱり、気持ちのいい朝だ。

気持ちのいい朝、おいしいごはん。

電車に乗って、気持ちが切り替わっていつもの自分が戻ってきた気がした。

だから、いつもどおり会社に来て、いつもどおり仕事を始めたけれど、熊の顔を見たら、熊の作るごはんで頭がいっぱいになってしまったのだ。

「う~ん。」

熊の顔を見つめ、ついうなってしまう。

眉間に皺が寄っている気がする。

「何だよ。」

「うん‥。」

「‥‥仕事しろよ。」

はい。

仕事は片さなきゃ、溜まっていく一方だもんね。

だけど、あぁ、もし熊の作るごはんが食べられなくなったら、私、仕事どころじゃなくなるんじゃないかな。

「高峰さん。」

「あ?」