くまさんといっしょ

頭をぽこ、と叩くと、熊がこちらに書類を差し出す。

「これ、急ぎ。ロス向けハンディーカム。」

「えぇ?!まだ大丈夫っていってなかった?」

「状況は変わるもんだ。ほれ、頼む。」

うぅぅ。

癒しが。私の癒しタイムが‥。

「じゃ、金曜日はお願いしますね、葉萌さん。」

にこっとかわいらしい笑顔でこちらを見る宮島君。

私にできることといえば、宮島君に笑顔を向けることと、熊を睨むくらいだ。

あぁ、でも。

「高峰さん、昨日はありがとうございました。」

私は大人。私は常識ある社会人。

自分に言い聞かせながら、熊にお礼を伝える。

「あ?いいよ。別に。あと、これ。」

紙袋を手渡された。

「‥何?」

「弁当。おまえ、今日も忙しいんだろ?」

うわぁ。

「ありがとう!神様熊様高峰様!!」

「あぁ?!なんだ、熊様って?」

いかんいかん。

つい心の声が。

「‥何かな?」

それにしても、熊ってすごい。

女子力、高くね?

熊なのに。

あ、こいつにもお礼しなきゃね。

「ねぇ高峰さん、今週の金曜日の夜、暇?」

「別に予定はないが?」

「じゃあさ、飲みにいかない?アメリカンカーゴの今井さんと。
宮島君、いいかな?」

若干苦笑しながらも、頷いてくれる宮島君。

「いいですよ。今井さんには連絡しておきますね。」

「うん!よろしくね。」

癒しをもう一眺めした後、振り返る。

熊を見上げ、書類をバサバサふってやる。

「で、いつまで?」

さぁ、金曜日まで、頑張れ私!