✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾

(私---........)

「え?」

目覚めが悪い。

なんて夢だ、一言で終わる夢なんて始めて見た。

時計を見れば午前四時、起床するべき時間の二時間前だ。

さて、何をするか。両親は出張へ出掛けており、家には俺一人だけ。
このまま支度をして蝶花公園にでもぶらぶらしとくか。

午前四時三十分、蝶花公園の鉄棒によりかかりながら左手にパン、右手に苺ミルクを持ち朝食を食べている俺は変だろうか。

チュンチュン…小鳥が俺のパンから落ちたパンカスを食べている。小鳥って早起きなんだな…。

そういえばここの近くに花畑とかなかったっけ?ちっさいころ良く母さんに連れてってもらってたな。

俺は飲み干した苺ミルクのパックをゴミ箱に捨て、花畑の方向へ向かった。

花の香りに包まれた風が吹く。
やっぱりここの花畑は綺麗だな、チューリップにラベンダー、バラにカーネーションなど色んな花がここにはある。
まるで絵のように凄く綺麗なんだ。
(すげぇ、懐かしい。)
俺が後ろに振り返ると…

ドスッ

「きゃっ?!」

(しまった。女子を転ばせてしまっ
た。)

「ぁ、えと…すいません、大丈夫ですか?」

俺は手を差し伸べた。

「はい、大丈夫です。私の不注意ですので。」

と、その少女はニコっと微笑み、白くて小さな手を俺の手の上に乗せた。

(やべぇ、シスターじゃん。俺罰あたるかも…)

首元には十字架のペンダント、黒くて長いワンピースを着ていた。
白くて雪のような肌に赤くて肩の下まで伸びた髪。凄く優しくて落ち着いた声は正に俺を惹きつけた。

「ふふっ…、あなた今 やばい、シスターじゃん。罰あたるかも なんて思ったでしょう?」

「あっ、はい思っちゃいました。」

「顔に思いっきりでていますよ。大丈夫です、私にぶつかってもなにも起こりませんから。」

とクスクス笑う少女は本当に花のように綺麗に見えた。

それから俺とこの少女は近くにあったベンチに座り、少し話をしていた。


「改めまして、朝霧 懍と申します。どうぞ、お見知りおきを。」

「あっ、えっと!俺は、柊 虹多。高校三年生です。宜しく!」

「虹多さん、高校三年生…私と同い年ですね!」

「えっ、あ、そうなんですか?」

「はい、私学校には通っていませんが、教会に通っているんです。」

(俺は凄く彼女が気になった。なぜ高校三年生にもなって学校に通っていないんだろう。なぜ教会に通っているんだろう。)

「え、どうしてーー......?」

「懍さーん!そろそろ朝の仕事がございますのでお戻り下さーい!」

一瞬で俺の質問は遠くから聞こえた女性の声に消されてしまった。

「はい!今行きます!
それでは、虹多さんお話の続きはまたいつか。」

「は、はい。また...。」

こうして彼女は花畑の中へ姿を消した。

✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾✾