それから同級生であった父親同士の話が盛り上がり、当事者である奏大や花菜はそっちのけで盛り上がっていた。
それに見かねた創は、食事が終わると2人きりになれるように提案した。
それに便乗してきたのが、両家の母親だった。
後はお若い2人で…だなんて、テレビで見たような台詞を言い、2人を部屋から追い出してしまった。
2人が出て行くのを見計らうと、千裕が創に向かってこっそりと口を開いた。
「ねぇ、創」
「ん?」
「お母さん、今思い出したんだけどね…。昔、よく家に遊びに来ていた男の子、西條さんにそっくりだと思わない?」
「……母さん、それ同一人物だから」
「あら、そうなの?」
「奏大は、花菜の初恋の相手」
「まぁ!じゃぁ、約束通り、王子様が迎えに来てくれたのね」
「…あぁ、そうだな」
「なぁに?お兄ちゃんとしては複雑?」
「いや、寧ろ俺も律もこの日を待っていたんだ。なぁ、律」
「あぁ。奏大くん以外は無理」
「まぁ!」
千裕はそんな2人の様子に、クスクスと笑っていた。

