(柚姫side)



あれは本当に突然だった。




いきなり父に呼び出されて、何事かと思ったの。







「柚姫、最近のお前は稽古に身が入っていない。お前は本当に一ノ瀬流を継ぐ気があるのか?」

「……それは…」

「お前に一ノ瀬流を継ぐ気がないのであれば、私は一ノ瀬流の家元として、次の手段を考えなければならない」

「……私には一ノ瀬流を継ぐことは出来ません」

「そうか。……なら、一ノ瀬流を継いでくれる婿養子を探さないとならない」

「婿養子…」

「あぁ。柚姫、ゴールデンウィークは開けておきなさい」

「………はい」