「なぁ、律。お前をこんなにも変えてくれたその柚姫ちゃんは、凄い子だな」

「兄貴…」

「お前の怖いという気持ちも十分理解できる。だが、その子に彼氏が出来てから行動するんでは、何もかも遅いんだ。タイミングを間違えると、取り返しのつかないことになる。俺はせっかく芽生えたお前の思いに、後悔はしてほしくない」

「奏大くん…」

「今すぐ答えを出せと言っているわけじゃない。怖くても、一歩踏み出す勇気さえあれば、どうにでもなる。だから、もう気持ちを伝えないと決め込むんじゃなくて、少しは気持ちを伝えることを考えてみても良いんじゃないか?」








律は創の言葉に、黙り込んでしまった。









「でもさ、その柚姫ちゃんだっけ?律のことが好きなんじゃないかなぁ~って思うんだけど…」

「淳平?」

「だって、こんなに手の込んだお菓子を、何も思ってない男のために作るか?しかも、チーズケーキって律の好きな食べ物だろう?俺は脈ありだと思うな」

「………」








淳平の言葉に、奏大も創も顔を見合わせた。