「あ、別に責めてるわけじゃないんだ。ただ、卒業するってことは、今までみたいには一緒に過ごせない。当たり前だった光景が崩れるんだよ?…そんなの嫌じゃない?」

「でも…」

「一歩を踏み出すのは怖いかもしれない。だけど、勇気を出して行動しないと、何も変わらないよ?」

「………」

「それに、律の奴厄介なことに、そういうのに鈍感なんだよね…。他人の好意には敏感なのに、自分に関しては鈍感だなんて笑っちゃうでしょ?」

「………」

「でもまぁ、それはアイツが育ってきた環境が大きな影響を与えてるから仕方ないことなんだけど…。恋なんてしたことないもんだから、勇気を出せないヘタレなんだよね。だけど、律にもお姫様にも幸せになって欲しいって俺は心から思ってるんだ」









隼大の言葉を聞いた柚姫は、両手を抱え、目に涙を浮かべながら話し始めた。









「……無理です」

「えっ?」

「確かに私は律先輩のことが大好きです。先輩と付き合えたらどんなに嬉しいか…。私だって普通の女の子です。やっぱり好きな人とは結ばれたいと思います」

「だったら…」

「だけど、だけど…」








柚姫は言葉を詰まらせ、目に大粒の涙を浮かべながら話を続けた。