「り、律先輩っ!」
「男はさ、みんな狼なんだよ。もうちょっと、自分の可愛さを自覚しましょうね?柚姫さん?」
「っつ…」
律は咥えている柚姫の指を舐めた。
「り、律先輩っ…!」
律の行動に柚姫は慌てるばかりであった。
そんな柚姫の態度に、律はニヤリと笑うと、柚姫の耳元に口を寄せた。
そして何を思ったのか、柚姫に聞こえるくらいの声の大きさで、こう呟いた。
「俺だっていつかは狼に変身するかもよ?」
「っつ…」
耳元で話されたことにより、柚姫はくすぐったくなり、思わず律から離れ、慌てて耳を押さえてしまった。
そんな柚姫の態度に、律は思わず笑ってしまった。
「律先輩…からかうなんて酷いです…」
「からかってなんかないって。事実を言ったまでだ」
「そんな…」
「……さぁ、早くしないと、本当に遅くなっちゃうから、行こう」
そう言うと、律は柚姫の手を握り、歩き始めた。

