それから2人は食事を終え、ホテルを後にした。
幸いにも、創に会うことなく出れたことに、律は安堵の表情を浮かべていた。
「だいぶ寒くなってきたな」
「そうですね」
「……もう一箇所、柚を連れていきたい所があるんだけど…大丈夫?」
「大丈夫です。父には帰りが遅くなることを伝えて来たので…」
「………」
「…律先輩?」
何かを考えるような表情で見つめる律に、柚姫は首を傾けながら問い掛けた。
そんな何もわかってない表情をしている柚姫に苦笑いしながら、律は話始めた。
「ねぇ、柚姫。一応、俺も男だよ?」
「そんなのわかってますよ?」
「いや、わかってない。柚は無自覚すぎ…」
「…どういうことですか?」
「ハァ~…。マジで心配。そんなに無自覚だと、いつか狼に食べられちゃうぞ」
「っつ!」
律は柚姫の手を取り、パクリと指を咥えてしまった。
そんな律の行動に柚姫は慌てていた。

