君といる幸せ





「悪かったな」

「えっ?何がですか?」

「俺、長谷部と話し込んじゃっただろう?柚、退屈だったんじゃないか?」

「いいえ。お2人のお話を聞いているの、楽しかったです。だから律先輩は気になさらないで下さい」

「ん…サンキュー…」

「でも、せっかくお兄さんがいらっしゃってるのに、お会いにならなくても良いんですか?」

「あぁ…。てか、誤算だったよ。まさか兄貴も此処に来てるとはな~…。まぁ、イルミネーションのスポットを兄貴から聞いていたわけだし、いないわけがないんだよな~…。ま、バレた時はバレた時だな。どうせあかねにも見られてるわけだし…」

「!」








柚姫はあかねという名前に僅かにに反応をした。
そんな柚姫の様子に、律が気付かないわけもなく、不思議そうに柚姫のことを見ていた。









「柚、どうした?」

「いえ…何でもないです」








柚姫は慌てて笑顔を見せた。
不思議そうに思いながらも、律はそれ以上突っ込んで話を聞くことはなかった。




少しずつ2人の運命の歯車が狂い始めていようとは、律もこの時は気付いておらず、後になって後悔するのであった。