無口、というか読唇術な男子くん

~1のB前~



あ、僕は1のDね。
さぁて、どいたどいたぁ!
友達が片手で数えるぐらいしかいない
凪ちゃんがまいるぞぉぉ!!

そして無口くんとしゃれこもうかぁぁ!!

え?なんか似てるセリフだって?
あはー、別にKGとかニートとかの真似はしてないから!

早く行けって?
もちろん行くさ!ただ、心の準備がねー。


ー数分後ー


よし!
んじゃ、無口くんとしゃれこんでくるとしますか!!


「しつれいしまーす!」


ガラッ! ドンっ!!

…………。

ん?僕、誰かとぶつかったの?


「あー…、ごめんなさい。」

「…………(ポンッ)」

「…、は?」

「…………(気にしないで)。」


あ、えーと…
現在僕の目の前に、口パクで話している男子がいます。

ん?もしかして…


「君は声がでないの?」


聞いてみました。


「…………(フルフル)」


あ、でるっちゃでるのね。


「なんで声出さないの?」

「…………(なんとなく?)」


……、あれか?アレなのか!?
ほらB○Rのあの人の真似ですよね!
いつも喋らず日本の無口代表的な人!!

というか、僕が想像してた地味男子となんか違うぞ。

イケメンって感じではないけど、
どちらかといえばかっこいいの類に入る。

めがね掛けてます。
髪は漆黒の肩ぐらいの長さ、
涼しげな目、スッととおっている鼻筋、
薄い唇…。

間違いました。イケメンです、ごめんなさい!
前髪が異常なほど長いけど!

なんで目がみえたって?
ただちらっと見えただけだよ。
あぁ、偶然だ、偶然だとも!


「………(じっ)」

「………はっ!
 ごめんなさい!」

「っ………!(オロオロ)」


……焦ってる。この人焦ってる!?
なんで?

あ、僕が急に謝ったからか。
イケメンの君に謝ってたのです無口くん。


「…………(平気?)」

「えっと、はい。」


何気に会話してるけど、
僕の目的簡単に達成してるよね。
おっと、無口くんの名前知らないや。


「君の名前は?」

「…………(静那、市藍静那)」

「ふ~ん。良い名前だね。」

「…………(あんたの名は?)」

「僕?井吹凪だよ。」

「っ!?…………(あんたが井吹か)。」

「そうだけど?」


なんだいびっくりして…。
かすかに目が見開いてたぞ。

すると、何故か知らんが
僕にしばし待てと言い、教室の中へと入っていった。


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