あいつがいい。



「おかえりなさい」


久しぶりに見る家に入ると、母さんが出てきた。


「ただいま」


「父さんが待ってるわ」


「…分かった」


荷物を部屋に置き、父さんの部屋へと向かう。


「失礼します」


「…どうぞー」


大きな椅子に腰を下ろしている父さんが、視線を俺に移す。


「まぁ、座りなさい」


「はい」


父さんと向き合う形で座る。


「どこか大人になったようだな」


そう言って笑う父さん。


大人に近づいてるなら、嬉しいけど。