「お母さん」
「どうしたの、晃希」
「帰ろ」
そう言って、服を少し引っ張る。
「…そうね。」
今度は迷子にならないようにと、お母さんが手を握る。
…お姉ちゃんとは、やっぱり違う。
「本当にありがとうございました」
もう一度頭を下げ歩き出すお母さんの後ろ、体は必然的に動き出す。
「お姉ちゃん、またね」
そう言って手を振ると、
「うん、またね」
同じように手を振り、笑ってくれた。
「晃希、もっとしっかりしなきゃダメでしょ」
お母さんが前を向いたまま言う。
「ごめんなさい」
謝ったあと、後ろを振り向く。
もう、その姿は見えなかった。
……また、会えるかな。


