あいつがいい。



…柚、来てくれてありがとう。


そんな意味を込めて、少しだけ抱きしめた。


「真っ赤だ」


体を離すと、タコみたいな色した柚。


「もう、早く行って!!」


見られたくないのか、俯いている。


「じゃあね」


「…ばいばいっ」


柚に背を向けて歩き出す。


「また連絡するから!!」


「…待ってる」


その声が届いたのかは、分からないけど。


でも、きっと大丈夫。